MMのひとりごと

とある地方住みオタクの雑記

したたかで裏腹な吹き溜まりの街/いのうえ歌舞伎『神州無頼街』4/30昼

前日とは打って変わって晴天!

素敵な写真が撮れました。ちなみにこれは9時台です。やることがなくて早く来すぎました。

リリアホールおしゃれ〜〜〜〜〜天井の映り込みまで美しい。

人がいねえ(それはそう)

席は3階席前方下手側。音響は前回の後方よりも良かった気がする。反響の問題なのかな?

ふと思ったんですが、私は既にオリックス劇場ロゼシアターで何度も観ていてセリフも歌詞も頭の中に染み付いているので、悪評高いここの音響でもそこまで気にならないだけかもしれないなって……どうなんだろう。

 

なんか今回、全体的にめちゃくちゃ好きだったな〜〜

ようやくこのタイミングで推し固定カメラから卒業……はできてないんですけど、他のところもチラチラ見れるようになって色々と発見もあったので、そういう話もしたいなあと思います。

 

ねえ……次郎長親分の飛び蹴りめちゃくちゃかっこいいんですが……今まで全然気づいてなかった……

シュッシュのあと草臥さんと別れて、お梅さん一家と草臥さんが出会う「上手くやれよ」のシーンの後かな?上手の方のセットの陰から敵に飛び蹴りしながら次郎長親分が登場するんですけど……なんかこの意外と身軽じゃん!っていうときめきが…わかります??威厳があって落ち着いててどっしり構えてる親分が飛び蹴りとかしちゃうんですか??え??めちゃくちゃ好きですね……

 

卯之吉の自己紹介のところ、「僕は薄影の卯之吉」の後のアドリブが大体いつも微妙にスベってて、それがまた卯之吉って感じでツボなんよな…って話をずっとしようとしてたのに今このタイミングまで言い忘れてたことも含めてめちゃくちゃ薄影の卯之吉って感じでいいですねという話をやっとできました。

ちなみに今回は「僕が十人集まっても“宇野重吉”にはならないよ」みたいなことを言ってたんですけど、スベってるというよりネタが古くて伝わってないのでは??(笑)ここ週替りくらいのペースで変わってるんですよね。大阪は3パターンくらいあった気がする。もはや一つも覚えてませんが……

 

取り立ての歌(?)が終わって街の住人たちが麗波に貢物を捧げてるシーンなんですけど、凶介があっ!お前たちまだ銭持ってんじゃねえか!みたいな反応してて、卯之吉から取り立てた小判一枚を見つめてたのかわいそかわいかった……凶介ほんと誰からも好かれてなくて切ねえ……

あそこの一連はそれぞれの取り立て方というか、どうやって相手に銭を出させるのかのスタンスが表れてて面白いですよね。凶介はとにかく暴力に訴えて恐怖で無理矢理出させる脳筋スタイル(しかし失敗)だし、草臥さんは陽気に賑やかに振る舞って相手を調子に乗せ、麗波はその麗しさと妖しさで狂わす。そりゃ凶介のやり方だと嫌われて当然だよな……しかもそれに屈しない卯之吉は意外と根性ある……貧乏人はしたたか……

あと草臥さん「騙す相手を調子に乗せりゃ 隠してた銭を吐き出す」って普通に悪~~~!(最高)でもそれで相手が気持ちよくなってるのならもうそれはサービス業と変わらないと思うし、それでずっと生きてこられたってものすごい才能だと思うんですよね。百千代なんか早い段階で一緒に歌い始めてて完全に心掴まれてたもんな。君たちバンド組んじゃいなよ!そうやって人の心を掴んで上手く生きてきたんだろうなあ。実際に若頭として上に立ってた人なので言葉に説得力がある……と思ったけど、忍が「人の上に立つのなら 粋に陽気に賑やかに」でやってたらさすがにまずいので口出し屋になってから築いてきたものなのかな?とかそんなことを延々と考えております。

 

あと今回の気づきとしては凶介が意外と衣装のパターン多いってことですね。オレンジonオレンジだったりゴールドonオレンジだったりゴールドonゴールドだったりしてる……草臥さんよりパターン多いのでは?賭場のシーンの片側だけ黒いマントみたいなヒラヒラがついた衣装がめちゃくちゃ好きです。オタクは皆ああいうアシンメトリーマント(?)好きやろ??

今まではなかなか衣装にまで注目できてなかったのですが、次はそういうところにも注目してみるのもいいかもしれないですね。

 

この流れで少し凶介の話をしますが、操り蟲が排除された後の凶介、明らかにそれまでとは雰囲気が違ってるんですよね。「後でとどめ刺そうと思ってた」というセリフにすごく違和感を感じてたんですよ。凶暴化してる時だったら賭場のシーンのようにそんなまどろっこしいことせずさっさと殺してた気がして。くの一たちを殺さなかったのは単純に詰めの甘さなのか、それともかつての仲間たちを前にして躊躇いが出たのか……

最近は操り蟲を飲まされる前から既に“身堂凶介”だった可能性について考えてたりします。そういう弱さや甘さを見兼ねた蛇蝎&麗波が実験台も兼ねて操り蟲を飲ませたのでは……とか。自分の意思で身堂一家の一員になっていたのだとすれば、操り蟲が排除された後も身堂一家としての記憶が残っているのもわかるし。う~~~ん……この辺りの経緯が知りたい。なぜあの夫婦は甚五を殺さず家族として迎え入れたんだろう。揚羽ちゃんに対してとは違って愛情とか大事にしてる感を全く感じないので……それでも凶介は身堂一家を選ぶんだもんなあ。もう後戻りはできないと思ったからかもしれないけど。

あと凶介ずっと語彙力がないけど甚五の時からそうだったんか??「特別に、特別に培養された蛇蝎毒の特別蠍が~」のところ本当おもろい……しかも得意気に言ってるけどそれバラしたらあかんやつやん……本当アホすぎて愛しい……

凶暴化してる時の「殺すぞ!」の言い方が凶介と草臥さんで同じなのしんどいポイントですよね……やっぱり似た者同士なんだろうな……

 

今回の手術シーン、テンポも滑舌も間合いも過去イチ良くてめちゃくちゃ面白かったな〜~あそこってテンポがめちゃくちゃ重要ではあるけど、テンポだけで行ってしまうとおもしろもそのまま流れていってしまうのでその塩梅が難しいシーンでもあると思うんですよ。「え!?俺が!?!?」「でもなぁ~~~」「これはんぺんか」ここの草臥さんの間合いが絶妙すぎておもしろシーンとして完璧でした。めちゃくちゃよかった!

 

なんか揚羽ちゃんどんどん無邪気になってない??生まれた赤ん坊の名前をもう決めてあるというお梅さんの話を聞きながら、え~~なになに??って感じでぴょんぴょん飛び跳ねてて激かわいかった……

やっぱり揚羽ちゃん16歳くらいに見えるんだけど、実際20歳とかなんだもんな…いやわからんけど私の分析によるとそのくらいなので……見る度どんどん少女らしくなってる気がする。ハァ~~カワイイね……

地下水路で永流が倒れた時に思わず駆け寄って手に触れてしまってバッッッっと慌てて離れるところとかさ、意識しすぎ~~~

 

永流も揚羽ちゃんのことは気にかけていて、揚羽ちゃんは永流のことが気に食わない、気になる存在であるのは間違いないけども、それが恋愛的に発展するのか?と言われるとそれは絶対的になさそうなのがまたいいんですよね。

揚羽ちゃんみたいな気の強い女の子は、優しさと一途さ以外に取り柄のないちょっと情けなくて冴えない感じの男を最終的に選ぶんですよね。オタク知ってる!やばい感じのヤクザに襲われた時に身を挺して守ろうとしてくれるんだけど、めちゃくちゃ弱くてボッコボコにされて。いよいよまずいってなったタイミングで颯爽と永流登場!涼しい顔で秒で敵をなぎ倒して助けるんだけど、揚羽ちゃんはボロボロの男の方を愛しちゃうんですよ……わかるよ……(幻覚)(続編の話をしています)。ちなみに揚羽ちゃん御一行はあの後行き場をなくした人たちのために新たな“無頼の宿”を作るし、そこにお梅さん一家やお銑さんなどお馴染みのメンバーが集って、永流&草臥は目的地に向かう途中たまたまそこに立ち寄った設定です!(知らんがな)

話が逸れ過ぎた……永流は永流でさあ、殺し屋として育った過去も、それに抗い生きようとしている今も、それでも殺しで快感を得てしまったこともそこで生まれたジレンマも、全て全てまるっと受け入れて何でもないことのように一緒に生きようと言ってくれる包容力と行く道を明るく照らしてくれる陽の力を持った男が人生の伴侶としてぴったりだと思うんですよね。あっ男って言っちゃった☆

十何年か経って子供が自立して親元を離れるという時に、今まで子育てという名目でこいつと共に過ごしてきたけどもうその理由がなくなってしまったんだな……とかふと考えてしまう永流はいるじゃん??そこで初めてもうとっくにこいつなしでは生きていけない体になってしまってるんだなって、その男への愛を自覚する永流はいるじゃん??でもさあ、草臥さんは最初っからそのつもりで「俺たちで育てるか」って言葉をかけてたし、だから遅えよってなるんですよね……ッッッッッカーーーーーーそこからが本当のバディの始まりだ!行こうぜ、相棒!おう!デーンデデデッ!~エンディング~ 神州無頼街 その弐・完

そういうしっとりした2人が見られる続編の上演はいつですか??(脳内同人誌の放出はやめな~~~)

 

永流と揚羽ちゃんはもっと大人になったらきっといい友人になれると思うんだよな。自分が信じたことに真っ直ぐすぎて盲目になりがちなところとかちょっと似てる気がするし。そのストッパーになってくれるような存在が草臥さんだったり千之介&百千代だったりするのでバランス取れてるな~と思います。みんな幸せになりな!

 

そうそう、終盤の蛇蝎&麗波vs永流のところで、下手側に白い羽が落ちてることに気づいたんですよ。羽…?ハッッ永流の衣装だ!

翼の折れたエンジェル!?

羽を誰かが踏んで滑ってしまわないか気が気じゃなくて全然集中できなかったな!途中で蛇蝎が踏んだ時はアッッッッッとなったけども羽がくしゃっとなっただけで大丈夫でした。その羽に気を取られてたらなんと、次は舞台前方の中央付近にもう一つ羽が落ちとるやないか…!

翼の折れたエンジェル!?

なんかわからんがめちゃ興奮してしまった……攻撃を食らい羽を散らす永流……スケベ心が疼く……良い……

 

vs凶介後の草臥さん、無理していつもより笑えてたんだけどそれがむしろしんど~~~ここどうあってもしんどいよな……ここまでおどけた言い方だったのは大阪公演の初期頃に観て以来かもしれない。

草臥さんがその名前を名乗ってる理由についてはずっと考えてるんですけど、たとえ結果的に“草臥れ儲け”になったとしても自ら首を突っ込んでいくような生き方をしたい、とかそういう理由??御役目を待ってることに“草臥れた”からとかそういうマイナスな理由ではなさそうだけどどうなんだろう~

 

揚羽ちゃんの「よくもこの街を燃やしたね!!親父様たちを殺したね!!」が今まではとにかく怒ってるという感じだったけど、今回は怒りながらも悲しみが隠しきれてなくて泣いてた……それが素直な反応だよな……

永流もただでさえ自分の宿命に対しての苦しみを感じているこのタイミングであんなふうに気持ちをぶつけられたら、そりゃ医者なんて無理だって気持ちにもなるよなって……だからいつも以上に「ずっとずっと恨め」が刺さったなあ。

 

カーテンコールで幕が下りる中、宮野さんが旅館の女将ばりの美しい座礼を披露していて笑ったんですけど、その後下手に捌けるときにもわざわざ客席近くまで来て旅館の女将やってて本当……サービス精神の化身……宮野さんが楽しそうにそこにいてくれるだけでオタクはハッピーですありがとう……

 

なんかもう無頼街のことばかりずっと考えてるので言いたいことがありすぎるしまだまだ語れてないこともありすぎるし纏まらねえ~~

次の観劇まで2週間も空いててどうなることかと思ってたんですが、意外とロスになってないのは脳内がずっと想像上の無頼街で溢れてるからかもしれないですね。燃費のいいオタク、バンザイ!

 

次はライビュだ〜〜〜〜〜〜楽しみだなあ。生に勝るものはないけどもライビュでも一回は観ておきたいなと思ったんですよね。ここはどういうカメラワークでくるんだろうとか、想像するだけでワクワク。

ライビュの良さと言えばやっぱり「別の視点で見られる」というところだと思ってます。私の場合だとどうしても草臥さんのことばかり見てしまって、その間に他の人たちがどうしてるのか気になってても結局見られないことも多くて。だけどライビュはその時一番注目してほしいと制作側が思ってるところがカメラで抜かれるはずなので、今までにない気づきが得られそうでそれがすごく楽しみです!

あとおそらくこの映像が円盤化の際に使われることになると思うので、アドリブなしのスタンダードなバージョンをしっかりきっちりやるんだろうなと思ってます。台湾でもライビュがあるようなので、字幕のことを考えても事前に決めてるところ以外のアドリブはなさそうですよね。そういうところも楽しみにしたいと思います!

 

あと最後に。今回の席の周辺がめちゃくちゃ前のめり率が高くて、スタッフさんにも注意を受けていたんですよ。館内放送でも何度も言われてることなので知らなかったという言い訳は通用しませんよ!みんな気をつけような!なぜ前のめりが駄目なのかってなかなか想像しづらいと思うので、博多座さんが公開してくださったこの動画をぜひ見ていただきたいです。

 

ではでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!