MMのひとりごと

とある地方住みオタクの雑記

「作り話」に殺された哀しいふたりの物語/みきくらのかい『怪談贋皿屋敷』

 

 

みきくらのかい 第二回公演リーディング

『怪談贋皿屋敷

 

ようやく観ましたよ~~~~~

配信ほんとうにありがたい…過ぎた今だから言いますが、自分の中でなかったことにしてたので……

現地に行けないことで軽く病み始めたのがカチカチ山の頃。そしてこの怪談贋皿屋敷に関しては配信も決まっていなかったので、完全にやさぐれてたんですよね。いい歳してお恥ずかしい。

特に何とは言ってないけどタイミング的に完全にそれじゃんっていう。怪談贋皿屋敷に関する情報は見て見ぬふりで拡散せず、行けなくて悲しい!と声に出すこともせず、全て見ず触れず無かったことに、そうやって過ごしていました。精神衛生上、それが一番いいと思ったから。

 

でも後から反省したんですよ。宮野さんにとって大切なはずの舞台をそうやって勝手に無かったものとしてしまったことも、最初から諦めて配信や円盤化を求める声を何一つあげなかったことも、私のオタク道に反するので…めちゃくちゃ反省しました。でもそういう時って、声を上げる気力もないじゃないですか。まあ仕方ないよね。

 

つまり、配信ありがとう!!!

 

 

 

いつもながら本題までが長い!では改めて感想行きますよ~

 

 

播磨さま……悪い男…………

色んな意味で……

 

いや~すごかった。何がすごいかって、二人とも姿は見えているし声も全て二人のものなのに、目の前に十何人もの登場人物たちが見えたんですよ...不思議な感覚でした。一流の声優としての技と、お芝居への熱が詰まった素晴らしいステージでした。

そして私はやっぱり宮野さんのお芝居が何より宇宙一好きだな……原点......

 

最初に全体が分かりやすい【みきくらver.】を観させていただいて、せっかくだから宮野さんのお芝居に注目した【宮野真守ver.】の方も観て終わりにしよう…と思ってたんですよ。それが、どうしてももう1回観たい…!という気持ちが抑えきれず、最終日に再び【みきくらver.】のチケットを急遽購入してしまったのでした。いや~~~すごい。

派手な演出など何もなく、大きな動きもなく、たった二人だけで、それでも約2時間もの間飽きさせることなく、むしろ何度も見たくなるような作品になっているんですよ。本当に感動しました。

 

では内容の話を。

『怪談贋皿屋敷』というタイトルを聞いても全くピンときてなかったんです。だけど、あれ?この話、もしかして…?と途中でハッとしました。怪談の『番町皿屋敷』なら知ってたんです。小さい頃、寝る前に父が色々な物語を聞かせてくれていたのですが、その中に『番町皿屋敷』もあったんです。主人の大事な皿を割ってしまった下女が殺され井戸に落とされ、「一枚…二枚…三枚…………九枚…一枚足りない……」と皿を数える女の幽霊が出てくるという話。

なるほど、この『怪談贋皿屋敷』というのはその皿屋敷を題材にして、「もしそれが誰かの作り話であったなら」のIFで人間模様を描いたものなんだなあ。

 

それにしても登場人物多くない!?いや一つの物語として考えると別に多いということもないと思いますが、たった二人でやる朗読劇としてみると多すぎるでしょ!セリフのある役は、全部で17人ですかね?いや~~お見事。

それほどたくさん朗読劇を観てきたわけではありませんが、今まで観たものは1人1役と決まっていたり、登場人物が少なくてメインの役とあと数役やる程度のものだけだったので、今回の2人で17役は衝撃でしたね。しかも分かりやすいように喋る前に人物名を言ってから喋ったり、ト書きまで全部読んだり…そういうのも新鮮でしたし、それを自然にお芝居の中に挟んで全く違和感を感じさせない技術がすごい。

あと、基本的に演じる人物はそれぞれに割り振られて決まっていましたが、一部の人物(彦兵衛とトメ)はシーンの状況によって三木さんが演じたり宮野さんが演じたり、そういうことができるのも今回のような朗読劇ならではだなあと思いましたね。

 

さっきも言いましたが、全員そこに“見えた”んですよ。登場人物たちが、声という表面的なものではなくそこに“生きて”いたんです。声優の仕事は声色を変えて演じるものではないという話は宮野さんもよくしていますが、お二人ともお芝居への向かい方ぶつかり方が似ているんだなあと今回のお芝居を観ていて感じたりしていました。

 

17人。色々な人物がいたけども、どうしてもお槙の声がッッ頭から離れないッッ!お槙さん、たまにというかわりとエッチな声を出すので私の中にスケベ心が生まれてしまって困る。

怪談が元になっているので基本的にはそんな明るい話ではないのですが、ところどころフフッとくる場面もあって重くなり過ぎないバランスがすごくよかったなあ。ずいずいずっころばしのシーン、笑わないの無理では?ああいう遊びを大人になってやってみると妙に盛り上がる感覚分かりすぎるし、今後やらしい遊びに見えてしまうじゃないですか~~

あと「一緒に成仏しよう(ええ声)」はあかん!というかあそこの座敷のシーンなんですか!?播磨さま……クッッ……もうずっと播磨さまに苦しめられてます。しかし「死んでからじゃ遅すぎた…」のお菊ちゃんが切なすぎますよね…

 

お菊ちゃんの三木さん、ほんと可憐な少女…三木さんの声で三木さんの見た目なのになんで?ってくらいかわいくて愛おしい。しかも元の超絶ネガティブお菊と恋をして見違えたお菊では、どちらもちゃんとお菊なのにちゃんと違ってるんですよ!すごい。

播磨さまもさ~~~きっとああいうウブで純粋な子の相手とかしたことないだろうから、無駄にドキドキしちゃったんじゃん?妄想です。

 

は~~~~播磨さま……

宮野さん本当に播磨さまハマりすぎててもうそのままの姿で舞台で播磨さまやってるかのようだったな……めちゃくちゃよかった……表情も好き過ぎた……

播磨さま、普通に悪人だし傍若無人で気まぐれですぐ調子に乗るしめんどくさい性格だけど、本当はずっと寂しくて孤独で…金と地位を利用してその心の隙間を埋めることでしか生きられなかった人なんだろうなあ。最後はぬくもりを求めて涙を…見せるんだもんな…

1回目に観た時は本当に播磨さまのことが分からなかったんですよ。あんなに悪い人なのに、お菊といる時はすごく優しく見えるし笑顔も見せるし…ただの気まぐれ?でも好みじゃないはずの女に対して何でそんな優しくするの!?播磨さまのことが!!!わからない!!!となってたんです。でも2回目を観た時に、もしかしたら本人は自覚がないけども、お菊の持つ寂しさに播磨自身が共鳴する部分があったからなのかな…とか思ったんですよね。もしくは自分を強く見せたり気を張ったりしなくてもいい相手だと感じたからかもしれない。なんにせよ、そんなのはもう出会った瞬間から恋が始まっちゃってたってことですよ!くぅ~~~~

悪い男と純粋な少女の組み合わせ、たまんねえ~~~~~

 

はあ……

あのラスト、私はハッピーエンドだと思ったんですよ。お菊も播磨さまも、きっと一緒に成仏できるね……

 

あっそうだ宮野さんでめちゃくちゃ好きな場面あったんですよ!初めの方なんですが、お槙を演じた後にシーンが変わって播磨さまが登場するところ…ここで宮野さん、脚をガバッッッと豪快に開くんです。さいこうか?あそこたまらんかったな~~

宮野さんほんとよく動く…体もだし顔面すごい。普段のアフレコでもよく動いてるようなので舞台向けを意識してるというわけではなさそうなんですけど、お槙とか特にすごい動く動く!顔面筋すごい。播磨さまの片眉上げるような悪い顔もたまらん。

 

最後に。私、この物語ですごいな~と思ったことの一つが構成なんですよ。始まりは現在の観光地、「お菊の井戸」を紹介する案内人とそれを興味深く聴いている観光客のシーンからスタート。それから過去にさかのぼって私たちはその「お菊の井戸」の真実を知るんです。「作り話」によって殺された哀しい2人の物語を知るんです。そして再び現代へ。始まりと同じシーン。でも、同じなはずなのに感じ方が全く変わっていました。真実を知らず、「作り話」を信じて楽しむ愚かな人間たちに見えました。

 

『怪談“贋”皿屋敷

井戸の中に渦巻くのは人間の欲望、欲望、欲望。それが招いた悲劇。

いま私が観ていたこれも、まさに「作り話」なのにね。

 

素晴らしい作品。出会えてよかった!

 

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なんと配信を観てるちょうど最中にポストに投函されていたドキュメントブック。ナイスタイミング!観終わった瞬間に読めたの完璧だったな。

このドキュメントブック、めちゃくちゃ指紋が付く!!!!綺麗な手で触りましょう。

インタビュー盛りだくさんで読み応えありましたよ~素敵な写真もたくさん。まだ2月中は買えますので!ぜひお買い求めください!(みきくらのかいの回し者ではありません)

https://mikikuranokai.stores.jp/

 

三木さんから宮野さんに直々にオファーがあったっていうのが嬉しいなあ。数々の作品で共演してきた大先輩じゃないですか、傍で宮野さんのお芝居をたくさん見てきた方で、そんな方が宮野さんとやりたいと思ってくださったんですよ!それってすごいことなのでは?

宮野さんのお芝居を何より愛するオタクとして、こんな嬉しいことってない。宮野さん、よかったね!

 

どうやらこれの前にやったという配信限定の特別公演は円盤化されているようなので、怪談贋皿屋敷も可能性ありますよね!?!?だって配信あったもんね!?

編集とかどうでもいいので!そもそもほとんど動きとかないわけだから、配信映像そのままで全然構わないので!みきくらver.の編集とかなかなかドラマチックに仕上がってたじゃないですか!

配信終了後のアンケートにもしっかり書いてアピールしておきましたから。今度はちゃんと声上げていきますよ!

 

 

そんなわけで、この辺りで終わろうと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました!